国際単位系のあれこれ4

 単位はなぜ必要なのでしょうか。

 近所の道を歩いている時に、「パン屋に行きたいのですけど。」と聞かれたとします。その人が間違いなく行かれるように説明しようとします。「ここから50 mほど歩くと右にあります。」とか伝えます。その時の様子により、「100歩ほど歩くと…」とか「1分近く歩くと…」と話すこともあります。

 「バスの定員が54」、「肉200ちょうだい!」、「50しか泳げない」などと聞くと54人、200 g、50 mのことと自然と判断します。

 口に出すかどうかは別にして、数字に言葉を付け加えて具体的な大きさを表しています。この言葉を単位といいます。目の前にいる人に話しているときは単位が「分」でも「歩」でもまたは省略しても相手に伝わればそれで済みます。しかし相手がいっぱいいるとなると誰にでも分かる様に正しく表す必要が出てきます。せっかく話したことが伝わってなかったり間違って受け取られていたら何にもなりません。お互いに損することも出かねないのです。間違って受け取って動いたら事故になったということも起きかねないのです。

 そこには、まず周りに正しく分かりやすく伝えようとする気持ちが必要です。「すごく重たい」とか、「ペラペラに薄い」、「はるかに遠い」と言った時に話す相手が同じような尺度を持っていたらある程度伝えることはできます。それでも例えば肉を買う時、すごく重たいから1000円、軽いから500円という売り方はしません。100 gが200円の肉だから500 gで1000円と買う人にはっきりと伝えます。

 特に自然科学では重要になってきます。この数字を使って具体的に量を示すことを定量性といいます。

 例えば「非常に大きい」と言っても、蟻ならば普通5 cmないでしょう。船ならば全長100 mでも「非常に大きい」とは言わないかもしれません。厚さ0.01 mmというと日常生活では非常に薄いと感じます。しかし、半導体などの微細電子部品の世界では当事者は「厚い」という印象を持っています。そこで誤解なく伝え合うには必ず数字を使った表現、つまり定量性が求められるのです。 数字を使っても相手に分からなければ意味がありません。例えば、使用料「500 円」とあった時、サービスを受けるごとに払うのか、月々払うのかによって負担が変わります。そこで、500 円/回や500 円/月と表現して誤解の無いように伝えるのです。ここに出てきたcm、円/月などが単位です。数字と組み合わせることによって定量性を保っています。逆に、相手が勘違いすることを期待し「500 円」という人もいるので、生活での注意の一つでもあります。

原 眞一