国際単位系のあれこれ19

物理量表記の文法

物理量に使う記号は斜字体になります。その他の単位や用語、略称などは直立体を使います。これは添え字として使うときも同じです。例を示します。

v = 20 m/s    速度vは20 m/s

Lmax = 100 m 最大長さLは100 m

PT =10 MPa   熱力学温度Tの時の圧力Pは10 MPa

dx/dt = 5 m/s、Δx t = 5 m/s  (d、Δは直立体、xtは斜字体)

単位は基準となる物理量としての意味しかないのでL = 100 mmaxと添え字をつけることはありません。説明のために添え字をつけたい場合は必ず物理量の記号の方に付けます。

フォントによっては、ギリシャ文字に直立体が用意されてない場合があります。その時は少し面倒なのですが直立体のあるフォントを選ぶ必要があります。マイクロメートルの記号はμmであって、μmではありません。また、差を表すときのΔも変数ではないのでΔではありません。殆ど知られていないものとして円周率のπがあります。これは物理量ではないので直立体です。多くのフォントでπの様に最初から斜字体となっているので、選択することが必要です。

物理量=数値×単位 であると書きましたが、計算ではこの原則を必ず守ります。

例えば、距離10 mを時間5 sで進んだ時の速度を求めるとき、
       v = d / t = 10 m / 5 s = 2 m/s
と書きます。物理量のdtをそれぞれ10 mと5 sに置換したわけです。途中の単位を省略して
       v = d / t = 10 / 5 = 2 m/s
と書くことは許されません。d = 10 mであって、d = 10ではありません。面倒と思われるかもしれませんが、式が複雑な時に常に単位を書く習慣をつけると、間違いを起こしにくくなります。

表やグラフの見出しも同じです。よく「距離(m)」などとかっこの中に単位を書いているのを見かけると思います。それではこのかっこの意味は何か説明できますか。かっこは説明しているだけで具体的な扱い方を示していません。物理ではどのような意味と扱いがあるかということを誰が見てもわかるように書く必要があります。

表の中には数値が書いてあります。グラフでは目盛りに数値が書いてあります。つまり距離を単位で除して数値とし、その結果が書いてあるのです。かっこを使って、メートルという単位を使ったと表現するのでなく、はっきりと割り算を書かなければいけません。

一方で、式には物理量の名称は使わず、記号を使うことになっているので、
    距離(m)
ではなく、
    d /m            ここに、 d : 距離
と書きます。文のどこかでd を定義してあれば「ここに…」の文章は要りません。このように書けば、数値=物理量/単位となり、原則通りです。

それでは、対数の場合はどうでしょうか。圧力の対数に比例する現象などを表すとき、グラフには対数を目盛ります。物理量のうち、数値は対数を取れますが、単位の対数なるものは存在しません。そこで、対数を取る前に物理量を単位で除して数値にしておきます。つまり、
    ln(P /Pa)
とします。ln P (Pa)と書いてしまうと「単位の対数は?」ということになります。

グラフなどで数値が大き過ぎるときは1/1000などの値で書きます。その時1/1000をどのように書くのがいいのでしょうか。グラフの片隅に ×1000などと書くと、いつも見慣れている人は分かります。しかし、門外漢の方には千倍して目盛ったのか目盛りの値を千倍したのが正しい値なのか分かりません。そこでここでも数値=物理量/単位の原則に従い、例えば温度ならば

T / kK あるいはT / 1 000 K
と書いて、誤解が生じないように伝えていきます。

表やグラフを実際にどの様に描くのか、例を示すので参考にしてください。

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