国際単位系のあれこれ15

仕事、エネルギー         ジュール J         1 J = 1 Nm = 1 kgm2/s2

 位置エネルギーあるいは仕事は力と距離の積、動力による仕事は動力と時間の積、運動エネルギーは質量と速度二乗の積の1/2です。他に化学、熱、電気、原子力などのエネルギーがあります。物理量の記号はEですが何のエネルギーかにより他の記号も使います。
    電力量もエネルギーと同じ物理量です。ジュールを単位とした値を3 600で割ってワット時(記号Wh)で表したものを電気料金など電力供給に特定して使っています。
    原子物理学では、1 Vの電位差を通過する電子によって得られるエネルギーを1 eV(電子ボルト)とします。これは使用が認められています。1 eV = 1.602 176 487(40)
×10-19 Jです。
 (40)の意味は後述します。

電力、仕事率   ワット  W    1 W = 1 N・m/s = 1 J/s = 1 kgm2/s3

 速度とそれを維持するための力の積です。又は時間当たりに供給消費するエネルギーです。力という言葉が出てきますが力とは別の量です。物理量の記号はPです。
   皮相電力、あるいは無効電力にはWの代わりにV・Aを使う様に決められています。さらには無効電力にはvarという単位が認められています。使いやすいためと考えられますがこれらはSIの考え方には外れています。SIでは単位には基準量としての意味以上のものを持たせないのが原則です。
   自動車では馬力が使われてきています。馬力には英馬力(記号HP 約746 W)と仏馬力(記号PS 約736 W 日本で使用)があります。徐々にワットで表示される様になってきました。

電荷                クーロン                            C            1 C = 1 As

 1 Aの電流が流れているとき時間1 sに通過する電荷を1 Cとします。物理量の記号はqです。

電位、電圧      ボルト    V            1 V = 1 W/A = 1 J/C = 1 kgm2/(As3)

 電力は電圧と電流の積なので、電圧は電力を電流で割って求めます。また、荷電した粒子が電界内で移動した時は電位差と電荷の積が粒子の持つエネルギーの変化量となります。物理量の記号は電位ではV、電圧ではUです。

静電容量         ファラド              F            1 F = 1 C/V = 1 A2s4/(kgm2)

 絶縁物などにどれくらい電気をためられるかを表しています。コンデンサなど、2枚の金属で絶縁物を挟んだものは低い電圧でも大量の電気をためられます。このたまる電荷とためるのに必要な電圧の比例常数になります。物理量の記号はCです。

電気抵抗         オーム                  Ω  1 Ω = 1 V/A = 1 kgm2/(A2s3)

 電圧を電流で割ることで得られます。物理量の記号はRです。

電気コンダクタンス      ジーメンス S 1 S =1 Ω-1 = 1 A2s3 / (kgm2)

 電気抵抗の逆数です。物理量の記号はGです。

磁束密度         テスラ    T   1 T = 1 N/(C・m/s) = 1 kg/(As2)      

 磁場ある時、電荷を持つ粒子が運動していると速度に比例した力を受けます。そこで、電荷と速度当たりの力の大きさで定義しています。物理量の記号はBです。

磁束   ウェーバ Wb    1 Wb = 1 T・m2 = 1 V・s = 1 kgm2/(As2)

 コイルなどで作ったある領域を磁束が横切っているとき、その総計を表します。物理量の記号はφです。

インダクタンス ヘンリー  H   1 H = 1 Wb/A = 1 kgm2/(A2s2)

 コイルに電流を流した時に発生する磁界の強さを電流で割ったものです。物理量の記号はLです。
 磁気に関する単位としては、ガウス(記号G)、マクスウェル(記号Mx)、エルステッド(記号Oe)等が使われていましたが、今は使用しません。

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