国際単位系のあれこれ14

周波数、振動数             ヘルツ                  Hz         1 Hz = 1 s-1

周期Tに対しf = 1/Tで定義されます。普通、波に対しては周波数(記号f)を使い、その他には振動数(記号v)を使います。回転速度(記号n)は同じ次元を持つのですが、Hzは使わず、s-1を使います。回転の周期は長い場合もあり、分単位での使用が多くあります。その時の単位はmin-1です。rpmと書いている場合がありますが、これはrotation per minuteの略で単位ではありません。

密度                              キログラム毎立方メートル              kg/m3

比重と書いてある事がありますが、間違いです。物理量の記号にはρを使います。t/m3及びkg/l、kg/Lの使用も認められています。ここでtは単位トンの記号です。

運動量                           キログラムメートル毎秒                  kgm/s

p = mvで定義されます。つまり動く物体の質量と速度を掛けたものです。物体に大きさがあると回転や振動の運動があるので、単純にするときには体積はないと考えます。これが教科書などで書いてある「小さな球」の意味です。

力                                  ニュートン           N           1 N = 1 kgm/s2

F = maで定義されます。つまり質量と加速度の積です。質量と自由落下の加速度の積には重量という名称が与えられていて、
Fg= mgで定義されます。つまり重量は質量の別名ではなく、次元が異なるものです。重さの意味は不明確なので、科学で使用する言葉ではありません。質量にグラム、長さにセンチメートルを使用した時の単位はダイン(記号dyn)ですが、今では使用されません。

圧力、応力      パスカル              Pa   1 Pa = 1 N/m2 = 1 kg/(m・s2)

p = dF / dAA : 面積)で定義されます。均一の力がかかっているところではp = F /Aです。大気圧が約100 000 Paであり、真空を測定するとき以外では数字が大きくなります。そこで、
kPa( = 1 000 Pa)、MPa( = 1 000 000 Pa)などをよく使います。気象では、従来用いていたミリバール(記号mbar)と数値が一致することからhPa( = 100 Pa)を用いています。規則には沿っていますが、気象以外では使われていません。
     応力の単位にはN/m2が良く使われていましたが、最近はPaが使われるようになってきました。paとPを小文字で書いてあるのを見かけますが、間違いです。kg/(m・s2)のように、分母に複数の単位が並ぶときは数学の規則と同じ様に括弧でくくる必要があります。括弧を付けない表記は間違いです。kg/m/s2の様に割り算記号を括弧なしで2回以上使うのも間違いです。また、中点(・)は必ずしも必要ではないのですが、m・s2は中点を取るとms2となり意味が変わってしまいます。この場合は中点は必須です。
     ゲージ圧という言い方があります。大気圧を基準にする場合が多いのですが圧力を測定するとき測定器が持っている基準との差にするものです。大気圧基準の測定器で真空を測定すると圧力は負の値になります。この時の書き方は、P = -50 kPagaugeではなくPgauge = -50 kPaとなります。単位にはそれ以外の注釈などを付けてはいけません。

摩擦係数                                     1(単位は書かない)

μ = F /NF : 接する物体間の接線方向の力N :垂直方向の力 )で定義されます。力を力で除しているので、無次元になります。そのため、単位は書かず数字だけを書きます。

比熱容量                     ジュール毎キログラム毎ケルビン
                                          J/(kg・K)         1 J/(kg・K) = 1 m2/( s2・K)

物体を加熱するときに必要な単位質量当たりのエネルギーです。以前は比熱という言葉を使っていましたが今は使いません。比熱は、水との比較で使っていました。水1 gの温度を1 ℃上昇させる熱を1 calとして基準としていたのですがその基準自身が今はありません 。物理量の記号はcです。

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