国際単位系のあれこれ3

 テレビの寸法は「50型」などと表しています。皆さんご存知と思いますが、これは画面対角線の寸法をinchを単位とした数字です。その結果、イメージとしては大きさが頭に浮かぶのですが、実際に自分の家の棚に収まるかなどは別途寸法表を見ないと分かりません。
アメリカがテレビ放送を主導したこともあり、ブラウン管を使ったディスプレイの寸法はinchで表されてきました。一方、ブラウン管の発明当初は表示部は円形でその直径で大きさを表していました。四角になった時もそれを引き継いだ結果対角線の寸法になったようです。
 でも、分かりにくいですね。
 もうひとつ、更に分かりにくくした問題がありました。ブラウン管の対角線の寸法というと観る画面の寸法と思うのが自然ですが、実は違っていたのです。メーカーは、電子線が届く部分の大きさを記したのです。電子線は観る画面より外側まで当たっているので、数字はそれより大きくなります。普通のお客さんは物差しで対角線を測り、それを2.54で割り算して単位をinchにして確認することなどしません。
 これは私も知りませんでした。ある本のPCディスプレイの説明で、「マッキントッシュの画面寸法表記は他のメーカーより小さいけど、これは見える寸法で表しているから」と書いてあり、そこから事情が分かりました。マッキントッシュは正直でした。
 液晶TVが流行り出したころ、一時画面寸法を「36V」など「V」を使うようになりました。これは「同じ数字でもブラウン管より大きい」を意味するとのことでした。液晶だと水増しした数字が使えなくなったからです。
 ここから単位の話にします。単に単位を規則通りに使うのではなく、相手が正確に理解できるようにすることが大切です。単位に限らず欧州発の規格には使う側の立場で決めていると感じさせるものがあります。国際単位系も基本的にその考えに立っていると読めます。
そろそろ次から話を踏み込んだものにして行こうと思います。よろしくお願いします。

原 眞一