合気道エッセイ その1: ③ 合気道の合気って

合気道エッセイ その1

 すでに前のエッセイで,「合気発現」という言葉の中で「合気」という言葉を使いました。この「合気」を分解し,「気を合わす」などと文字遊びをせず,ここでは合気道の不思議な原理を総合して「合気」「あいき」「アイキ」「Aiki」と呼ぶことにします。エッセイが進むとだんだんこれが見えてくると思います。ゆっくりエッセイが進むのを待てない方は,グーグルで「合気道の極意」を検索してみてください。動画やAmazonなどの広告の後に「TatsuAiki 8 合気道極意」がでてきます。

★たつひとの合気道極意★
 合気道の技の根底にあるもの:根本原理
  Innermost secrets of AIKIDO

そう,私のWebサイトです。これから私がお話する中身がWebページで94ページにわたり書いてあります。ここの内容から合気道にまったく触れたことがなく,合気道の知識もない人にも合気道の面白さがわかるように話を進めてきます。まずは,「体重計」です。

(お風呂場の体重計)
 我が家のお風呂場には,体重計が置いてあります。「また食べ過ぎて2kg太ってしまった。」「今度の健康診断までにダイエットしておかないと」いう会話は日常の我が家の会話です。ここで頭からぬけているのは,日本の男性の平均体重でいうと64kg,ここでは説明しやすいように60kgとしますが,自分の体重の60kg,セメント入ったセメント袋(25kg)が2つと10kgの重さは完全に頭からぬけています。スーパーでお米を買うとき,我が家で10kgでは持って帰るのが重いので5kgにしています。5kgの米袋が12個が体重です。1リットルの牛乳パックも買って帰りますが,体重はそれが60本分です。米俵1俵ぴょうの重さです。この体重を日常の生活では完全に忘れています。自分の体重の大元を忘れて日々生活できています。すごいことですね。ダイエットは自分の体重を平均体重へどう持っていくかのエクササイズです。人の重さを感じるのは,酔いつぶれた人を持ち上げてタクシーに乗せて帰らないといけないときです。なんと人が重いことか実感できる場面です。

 この60kgの体重を人の手のひらに載せたらどうなるかと想像してみてください。支えられる人はいませんよね。

 私が仕事で赤穂にいた時にお世話になった赤穂道場に近くの大学合気道部の学生が稽古にきていました。彼は体重が100kg,高校時代は柔道をやっていました。合気道では稽古の相手に両手で片方の腕を持たせる諸手取りという持ち方がありますが,この学生相手に合気道の技を行わず,この腕を通じて,ただ単に自分の体重をゆっくり掛けていきました,100kgの体格のよい相手は床にゴロンと倒れました。
高橋さん,今なにしたんですか
簡単な原理です。体重を掛けるだけです。ただし,体重を掛けることは実はすごく難しいのです。ゴルフで45gゴルフボールに,自分の体重の60kgをうまくぶつけることができたら,ボールはふっ飛んでいきます。でも,うまくぶつけることができないのが普通ですね。

 合気道でも,瞬時にこの60kgを掛ければ相手は支えらずに崩れます。一端,重心を失い崩れれば,あとは床に向かって重力,すなわち地球が相手を引っ張ってくれます。合気道は力はいらない。そんなイメージができるのではないでしょうか。

 よくスポーツなど,自分の感覚を大切になどと言いますが,これが必要なのは合気道の技を覚える弐段までで,天才的な武道センスを持った人を除けば,合気道の合気を理解するには頭を使って考えることが大切なこととなります。まだ理系的,技術系的な話これからです。

ではでは。

高橋達人 tatsuaiki7@gmail.com