合気道エッセイ その1: ⑪ 体の合気

合気道エッセイ その1

 前のエッセイでは,手のひらくっつけ合気のお話をしました。この「くっつけ」の違った方法として相手の手のひらに拳こぶしを載せた拳のせくっつけ合気も同様の原理でできます。拳をのせるので少し力ちからイメージがでて,自己へのマインドコントロールが楽にできるかもしれません。

(くっつけ合気技はパワフル)
 くっつけ合気を使った技はパワフルです。本当にパワフルになります。ムダのない動きという言い方もありますが,相手の手を全く握らない,つまり,上腕をまったく使わず,前腕の伸張力だけで投げるので,伸張力の最大のパワーが発揮できると考えていいと思っています。本当にパワフルです。すごいです。くっつけ合気を使うことで,今まで修得した合気道技を効率よくしたものにレベルをアップすることができ,無駄だった部分が見えてきます

(体の合気)
 同様にさらにパワフルな合気動作が「体の合気」です。さらなる合気の深奥といっていいです。合気道の呼吸投げの一つとして技にみることもできますが,この原理を取り出して解説している先生はほとんどいません。相手が吹っ飛ぶ合気ですので,受身が未熟の人には技をほどこすことは危険でできません。道場でもよく相手を選んでデモをしないと大変なことになります。

 理解するための説明をします。まず,肩幅より少し広めに左右に足を広げて自然体になります。足の位置は動かさず腰を目いっぱい左右に移動します。これをゆっくり左右で動かしてみてください。ダンスのような腰の振りです。足の位置は固定されているのですが,腰の振りで体の重心が左右に移動します。重心が移動することは,60kgの米俵が左右に振れるように移動しているのと同じです。30cmは移動できます。この移動を使って相手を投げます。左右の移動だけでなく,以前お話した自然体から両親指付け根の拇指球を中心に右に90度めぐりできる体勢,右半身でも今度は前後に体の移動ができます。合気道では「舟漕ぎ運動」などと称し動きを練習しています。

 「体の合気」を使ったデモは,残念ながら先ほどお話したように道場でしか見せることができません。しかもしっかりした受けができる人が必要です。いつかそのような機会があるかもしれませんね。投げられた人も見ている人も目が点になります。

ではでは。

高橋達人 tatsuaiki7@gmail.com