溝口さんぽ(No.18 街道の老舗店)

 今年も雨の季節がやってきましたが、その梅雨前線が台風によって刺激され、日本各地で線状降水帯が発生し、河川の氾濫が見られました。今年は地球規模での異常現象が起こりやすい年になっているようですので、注意が必要なようです。
 さて、今月は夏季の散歩の中心コースとなる、大山街道にある老舗の店を中心に紹介します。この街道は高津区をほぼ東西に走っていて、玉川を渡った二子新地から高津を経て溝口までかっては商店街となっていました。江戸時代からの街道であるため、道幅が狭く、駐車スペースの確保が難しいこと、東急線がほぼ100~200m離れたところを走っているため、現在はこの地域の発展からは取り残された感じです。したがって、古くからある老舗の店もそれぞれに意地が大変なようですが、まだ何店かは頑張っています。
 それでは、街道を東から西に向かって歩きながらそれらの老舗店を簡単に紹介しましょう。多摩川を越えた二子新地のあたりは近年若者向けのアジア料理店やイタリア料理などが多く、古くからの商店はあまり残っていません。
 高津との中間点付近まで来ますと、店先に大きな釜が展示してある商店が目につきます。機械工具や業務用の日用品を主に扱っている飯島商店です。この釜(下の写真)はNHKの大河ドラマで石川五右衛門が釜茹でにされる場面で使われたとのことです。扱っている商品などから見るとそれ程古い老舗ではないかもしれませんが、ユニークな商店と言えます。


 この飯島商店からさらに西に向かうと、街道一の老舗であった田中屋の一族が経営している商店があります。道の両側に何軒かのスタジオなどがある、”写真の田中屋”です。この写真屋さんは、入学試験や入社試験の面接用の顔写真をこの店で撮ると、大変合格率が高いので有名で、種々のテレビ番組で紹介されています。皆さんもそのようなニーズがある時には是非こちらで写真を撮ってみたら如何でしょうか。
 さらに西に進むと、府中街道との交差点にぶつかります。その一角に田中屋本店から江戸時代の1760年に分家となった”はかりの田中屋”があります。現在は、測りのほかにこの辺りのお茶である“武州茶”を販売しています。また、この交差点から西側が昔のこの辺りの行政の中心であったようです。そのため、老舗の店が目白押しです。お茶屋さんのすぐ隣には薬問屋の灰吹屋本店があります。現在は溝の口駅前のマルイの地下や高津駅前などを中心に多くの調剤薬局や日用品雑貨の店を持ち、手広く商売しています。
 灰吹屋本店の2,3軒西寄りにあった村役場の跡地に、現在は”大山街道ふるさと館”が建っており、この辺りの情報発信の役割を果たしています。また、その隣には濱田庄司さんの育った家があったのですが、現在は、建て替えられて、若者向けのマンションになっています。さらに2,3軒西寄りの二ケ領用水沿いに穀物問屋の丸屋があったのですが、現在は不動産業に変わっており、その店の跡地はワンルームマンションになっています。用水の西側にも、かってはお米屋さんであったところが同じようにワンルームマンションに変わっていますし、その前にあった金物屋の稲毛屋も同様のマンションになっています。このように溝の口駅に近い街道沿いにはまさにこのようなマンションが林立しています。

 さらに進むと、1900年創業と謳っている鈴木時計店があります。今時時計一本で商売するのも大変だろうな、と前を通るたびに思います。この店から先にはあまり古い店はありません。なんか、駅に近づくと街の変わり方が激しくなり、老舗も姿を消してしまうのでしょうかね。

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