庭の自然を楽しむ-3 #No Mow Mayとヤマトシジミ

 我が家の庭には冬になると様々な野鳥が訪れるが,今年の冬,その野鳥が極度に減った。その原因を考えると,夏から秋にかけて,いわゆる雑草を抜いて“きれいな”庭にしたためだと考えた。雑草が生えると,そこから各種の種が落ちるだけでなく,昆虫などのすみかになって,野鳥の餌になる。雑草を抜いた結果,それらがなくなって野鳥が少なくなったと推定した。言い換えれば,雑草を抜きすぎたために,生態系が乱されたためではないかと考えた。また,庭には芝生が張ってある。同様な考え方から,芝刈りを少しサボることにした。

 こういった効果はてきめんに現れた。今年の家の庭には蝶が多く舞うようになったのである。我が家の庭には,いつも蝶が舞っている。庭を舞う蝶を見ていると,心が和む。

 最近,英国のPlantlifeという団体が2019年に提唱した”#No Mow May” (5月には芝刈りを止めよう)という運動があることを知った。そのHPからその概要をひろうと,”Join legions of gardeners and say “no” to the mow during the month of May to help our bees, butterflies, wildlife and us!” とある。英国では,長い冬を終えた5月に草の芽が出るので, 5月に草刈りを止めると、生態系が豊かになり,蜂や蝶などが増えるという考え方である。活動の結果,いろいろな場所で成果も上がっているようだ。2021年からは北米にも広がったという。わが国に言い換えれば,「雑草ひとつない綺麗な庭にするより,適度に雑草も残そうよ」ということになり,また,四季時々に生えてくる植物も異なるので,「草刈りは適度にサボろう」ということになるのかと考える。この雑草を適度に増やして生態系を豊富にする考え方は,いろいろなところで言われている。例えば,高圧送電線の下には草原ができて蝶が多い,さらに,スキー場を閉鎖したら草原がなくなって蝶が少なくなったなどである。我が家の庭ではそれを既に実践していたことになる。

 さて,写真は,庭に舞っているシジミ蝶である.シジミ蝶は,一円玉より小さく,まさに貝のシジミのような可愛く綺麗な蝶である。写真から種類を特定すると,ヤマトシジミという全国各地で見られる蝶のようだ。WEBでその生態系をしらべると,カタバミに産卵し,幼虫はカタバミを食べて育つ。カタバミは,繁殖力が旺盛で,可憐な小さな黄色い花を咲かせる。ガーデニングに長けた近所の女性からは,「雑草だからに抜かなきゃダメよ」と言われたが,意図的にカタバミを抜かずに残した。多分、その結果であろう。我が家の庭には、シジミ蝶がいつも舞っている。庭のカタバミの葉を観察すると,幼虫の食べた痕がたくさん見つけられた。おそらく,庭に舞っているヤマトシジミはこの庭で育ったものだろう。そう考えるだけでも,楽しくなる。

写真1 ヤマトシジミ(裏面)
写真2 ヤマトシジミ(表面)。止まっているのはカタバミで,幼虫の食べた痕(穴)が残る。

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