豊橋さんぽ(No.16 ユニークな看板)

 前回の便りからひと月足らずの間にずいぶん急速に季節が進み、列島各地では夏日どころか真夏日になるまで大幅に気温が上昇する日もあり、今年も昨年を上回る猛暑、酷暑になるのではないかと危惧されます。日々散歩していても、日向よりも日陰を選んで歩きたくなる日が増えてきました。朝9時半前後に散歩を開始しますが、歩き終える11時頃と歩きはじめでは気温も体感も大きく変わるため、服装選びがなかなか難しいことになります。最近、毎日のように散歩で顔を合わせる人があり、その人の服装は一気に真夏モードのTシャツ、半ズボン姿になっているほどです。桜は終わりましたが、つつじ、藤、その他種々の花々が道端や公園に咲いていて散歩していても大変楽しめる季節があまり早く過ぎ去らないように願っています。

 さて、今回は前回に引き続き散歩中に見かける商店などの中で、ちょっと変わった看板などについて紹介することにします。まず、駅前にはちょっと古いですが、建物の上にスペースシャトルを載せているパチンコ屋のビルがあります。かなり昔からあったパチンコ屋さんで、私も大学在学中に帰省した際には何度か利用したことがあります。当時は駅前にはこのような店がずらりと並んでいましたが、車社会となった現在では遊戯施設は街中から広い駐車場が確保できる郊外に移ってしまったために、このパチンコ屋は現在、廃業してしまいました。しかし、建物と屋上のモニュメントはそのまま残されたままになっています。まさに、過去の遺産の象徴ともいえます。


豊橋駅の東口駅前に残されているパチンコ屋のスペースシャトルの看板。

 次に紹介したいのは、クワガタムシ専門店の看板です。こちらは駅の西口から数分の住宅街にある店で、昆虫の中でも子供に人気のあるクワガタムシを専門に扱っていたようです。前回にこだわりの強い人が多いではないかといいましたが、この店などはまさに”こだわった専門店”といえます。このような専門店があることは、豊橋にUターン後の散歩で初めて知りました。ただし、何回かこの店の前を散歩していますが、いつも店のシャッターが下りたままなので、残念なことにもう営業はしていないようです。

クワガタムシ専門店の看板。

  三番目の看板は、我が家のすぐ近くにあり、看板から推察すると釣り関係の店であったと思われますが、現在は隣地の仏具屋さんが倉庫代わりに使っています。この店が開業した時代には海釣りがレジャーの一つとして盛んであったのだろうなと想像されます。豊橋は外海の遠州灘と内海の三河湾に挟まれているため、往時はマリンスポーツが活発であったと思いますが、時は過ぎ、市街地には若者が減り、廃業に追い込まれたものと想像されます。まさに、我が国の地方都市の何処でも起きていることと言えそうですね。

かっては釣り具関係の店であったと思われる店のカジキマグロの看板。

 

 ここまではすでに廃業しているにもかかわらず、開業時の看板がもの悲しげに取り除かれることなく放置されている残念なケースでした。そこで次には現在も活動中の例を2つ取り上げてみます。まず取り上げるのは、少し郊外に差し掛かった地域になりますが、建物の上に大きなゴリラの像が乗っている店があります。この店は安売り系の酒屋さんのようです。なぜゴリラ像を宣伝に使っているのか、定かではありませんが、通りかかる者にはそれなりにインパクトを与えているように思います。

みなと大通りにある酒屋さんの看板。

 最後に紹介するのは、現在この街が一番の推しにしているアニメのペインティングです。駅からほど近いところに農業用水の上に細長い下駄ばきビル(俗称では水上ビル)が5棟ほど建っています。そのそれぞれの壁面に、推しにしているアニメ、“負けヒロインが多すぎる”の宣伝としてキャラクターなどが描かれています。昨年の夏ごろから新幹線の改札口にもその関係のキャラクターパネルがお出迎えし、宣伝に努めていました。このため、いわゆる”聖地巡礼”に多くの旅行者が来ていたことを思い出します。どうも、この漫画の続編が決まったようですので、もうしばらくはこのような”推し活”が続くのでしょう。街の活性化には一定の効果があるものと期待しています。               (岡田清)

水上ビルの壁面に描かれたアニメのキャラクター。

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