豊橋さんぽ(No.6 車社会と高齢化)

 今年は中々梅雨入りしないため、農作物には種々の弊害が起きているようで、今後、野菜などの食料品の価格や品質などに大きな影響が出そうで心配です。また、散歩していて気づくのは、温暖化の影響で街中の道端や民家の庭に咲いている花が例年よりも早く開花していて、平年なら梅雨の時期に見ごろとなるアジサイがもう満開を過ぎてしまった感じがします。

 さて今回はいつも散歩していて強く感じている、東京あたりとは違う地方ならではの交通事情や生活感について触れることにします。帰郷して最初に気づいたのは人々の歩く速さが明らかに少しスローであり、また、スーパーマーケットや商店でのレジ処理が遅いことでした。また、街にはもちろん車が多く走っていますが、その走行の様子も比較的のんびりしていて、歩行者が横断歩道のところで道を渡ろうとしている気配を感じると、大部分の車は止まってくれます。中にはその際にエンジンストップまでする車も見かけます。首都圏ではほとんどの車が止まらなかった経験があるので、大げさに言うとちょっとしたカルチャーショックでした。しかし、今でも本当に車が止まってくれるのか、疑いながら道路を横断しています。

 前にも書きましたが、豊橋の市街地は大半が第二次世界大戦の際に空襲で焼失したため、戦後の復興時に道路を広くしたことで、車線も多く、かつ、歩道も十分すぎるほど広く整備されています。そのため、歩道には自転車と歩行者の通行帯が分けられているところを多く見かけます(実際にはあまりきちんと守られてはいないのが実情ではありますが・・・)。建物がそれほど高層ではないことと、主要な通りでは電線の地中化が進んでいることもあるので、空を広く感じます。

電線の地中化により広々とした歩道には自転車と歩行者ゾーンを示す標識が。


 帰郷して改めて感じたのは、鉄道やバスなどの公共交通機関の運行本数が少ないことでした。ある程度知っていたつもりではありましたが、現実は想像以上でした。やはり、人口が少ないことが関係しているのでしょうね。ただし、これは鶏と卵の関係なのでしょうが、公共交通機関が貧弱にならざるを得ない背景には、車社会であることも関係していると思われます。何せ、愛知県三河地域及び静岡県西部地域にはわが国でも非常に有力な自動車会社が多いことはその一因なのでしょう。そのため、街中には至る所に駐車場が用意されており、また、一般住宅にも必ずと言ってよいほど建物の前に複数の車両用の広い駐車スペースがあります。比較的早い時期に道路整備が行われたせいか、車優先的なところが見られます。例えば、首都圏では歩道橋はあまり見られなくなったと思いますが、豊橋市では重要な幹線で交通量の多い交差点には、判で押したように交差点を取り巻く歩道橋が整備されています。歩行者のみならず自転車もこの歩道橋を利用しなくてはいけないため、高齢者が多い人口構成の街にはそぐわない状況と言えます。そのため、後期高齢者の仲間入りしている私としては、散歩の際には、なるべく歩道橋を利用しなくてもよいコースを選ぶようにしています。

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