溝口さんぽ(No.19ミツトヨ測定博物館)

 今回は最近訪れました(株)ミツトヨのミツトヨ測定博物館について紹介します。溝口にはかっては種々の会社の工場がありましたが、この地域の急激な都市化の流れの中で大半の事業所はさらに郊外にその場所を求めて移転したため、現在ではあまり大きな事業所はありません。その移転跡地には人口の急増に対応するため、小学校、中学校、高校や、神奈川県の肝いりでかながわサイエンスパーク(KSP)などが造られました。そのような地域の中に、一つだけ事業所があり、それが㈱ミツトヨです。無機材会の会員の皆さんはほとんどの方が大学の学生実験などで長さを測るのにノギスやマイクロメーターを使用した経験があるのではないかと思います。それらの測定器具にひょうたんが3つ刻まれたロゴがあったのを覚えていませんか。これがミツトヨ製の器具です。そんな訳でこの会社の事は知っていました。この辺りは私の散歩コースの一つで、散歩中にいつも横目で見ていたのですが、ある時、正門わきにこの博物館の表示を見つけ、一度見学してみようと思っていました。

 博物館はコロナの影響もあり、完全予約制になっていて、(株)ミツトヨのホームページから申し込みをするスタイルでした。かっては館内を案内してくれる方式だったそうですが、現在は、本社工場内にある博物館に行くため、守衛所で来社目的を告げ、担当者に迎えに来てもらい、博物館の入り口で簡単な説明を聞いた後は、自由に見学ができる方式になっています。下の写真が博物館がある建物です。2フロアーにわたって、創業者と会社の歩みが年代順に紹介されています。この会社の製品が精密測定器具であることから、何となく自社製品にこだわりを持った会社かな、といった印象を持っていましたが、まさにその通りでした。また、このこだわりには創業者である沼田恵範氏の強い想いが背景にあることが展示などを通して強く伝わってきました。

 この博物館を見学するまでは、ノギスとマイクロメーターを製造する会社と思っていましたが、実は大変多くの精密測定器具や測定器を作っていることが分かりました。その主なものを羅列すると、マイクロメーター(1936年の国産化以来、機械式のほか、電気式、レーザースキャン式などを作製)、内径測定器、ノギス、ハイトゲージ、デプスゲージ、ゲージブロック、ダイヤルゲージ、リニヤゲージ、スケールユニット、といった長さの測定機器の外にも、投影機、顕微鏡、画像測定器、表面粗さ測定器、輪郭測定器、真円度測定器、硬さ試験機、振動計測定機器、地震観測機器、三次元測定機器といった測定機器を製造しているとのことです。また、変わりどころでは体脂肪率測定器などもありました。表面粗さや硬さ試験機などもセラミックスの研究にはよく使われているので、意外に我々にも関係があることが分かります。精密を求める方向はこれからもこの会社の重要なテーマであろうと思いますし、それを追求していくうえでは、創業者の強い信念が今でも生きているような印象を持ちながら、博物館を後にしました。皆さんにもお勧めできる博物館と言えます。

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