豊橋さんぽ(No.26 三河の春告げ祭り)

 暦の上では2月3日の春分の日から春になるわけですが、この時点ではまだまだ寒い日々が続いていましたが、中旬過ぎから急に暖かい日がやってきました。もちろん、冬から春への移行はいわゆる三寒四温で行きつ戻りつしながら、ということなのでまだまだ寒い日はやってくるとは思いますが、季節は確実に春に向かうことになります。愛知県の三河地方では、この時期にはそれぞれの市町村で春を迎える宗教行事が行われます。一般的には”花まつり”とか、”鬼まつり”とか言われる祭りです。ここ豊橋では、豊橋公園近くにある安久美神戸神明社(あくみかんべしんめいしゃ)で2月10日と11日に行われる”鬼まつり”がまさに、春を告げる行事になります。

 この鬼まつりでは、まず初日に子供の青鬼が現れて神社周辺の氏子の町内会を走り回りますが、この小鬼役は氏子の中の小学校高学年の男子から選ばれます。鬼の装束をまとい、鬼のお面をかぶるため、両脇から裃袴姿の氏子に支えられ、多くの勢子の先導のもとこむぎこをまき散らしながら街々を走り回ります。大人でも大変な重労働なので、青鬼に扮する子はとても大変です。ちなみに鬼に扮する子供が通う小学校は、この日が休みになるとのことです。

鬼まつりに向けて安久美神戸神明社に向けて祭儀用品を運ぶ行列。正面の建物はこの町会の立ち寄り場所。
街を駆け回る子供の青鬼。
吉田宿本陣跡にあるウナギ屋さんの店先に掲げられた”小鬼”の提灯。

 メインイベントは2日目の午後には、境内の石舞台での天狗と親鬼の赤鬼が戦う神事から始まり、赤鬼が天狗に負けて逃げ出すときに大量のこむぎこが集まっている人々めがけてまき散らされます。まさに頭から服まで真っ白になるわけですが、このこむぎこに混じって丹切飴の入った小袋がまかれ、この飴を食べると1年間の無病息災と家内安全がかなうとされているため、みんな競ってその袋を奪い合います。赤鬼はこれも両脇を裃袴姿の氏子に支えられながら、街中を逃げ回り、お約束のこむぎこが大量にまかれます。特に町会ごとに鬼を迎える場所が設けられており、そこでは路面が真っ白になるほどこむぎこがまかれます。翌日辺りに散歩していると路面を見れば、その辺りが氏子の町内かどうか、よく分かります。このようなユニークな奇祭であるため、東海地区のテレビ局では夕方のニュースで毎年紹介されています。

鬼まつりでメインイベンターとして街中を駆け回る赤鬼と石舞台。

(岡田清)

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