鴻池発祥の地であり、酒造業で栄えた兵庫県伊丹で見学会・懇親会(関西支部)


 2024年11月23日(土)、無機材会・関西支部の見学会・懇親会を実施した。関西は蔵前工業会の活動が活発で、頻繁に講演会など開催されている。無機材会・関西支部では、懇親会で親睦を図ることとし、懇親会の前に参加自由の見学会という形で活動を行っている。

 今も日本の三大酒処として知られる灘と伏見には、コロナ禍前と昨年に、それぞれ見学会で訪れているが、今年は、清酒発祥の地とされる伊丹に赴いた。伊丹は、今は大阪空港で有名であるが、「清酒」の製造に成功して江戸時代の代表的な豪商となる「鴻池」の発祥の地である。江戸時代は「下り酒」として知られた伊丹酒の酒造りで栄え、西国街道の宿駅として歴史の様々な舞台にもなった。

 JR伊丹駅に集合し、黒田官兵衛が幽閉された有岡城跡を横目に、ペデストリアンデッキから歩行者専用道路を通り、白雪ブルワリービレッジ・長寿蔵博物館を訪れた。博物館では酒造りの様子、道具を見学した。博物館近くの伊丹老松酒造では、地下95mから汲み出した「老松丹水」を味わい、さらに市立伊丹ミュージアム/旧岡田家住宅と旧石橋家住宅では、学芸員の解説で、かつての酒蔵を見学した。 ― 学芸員の話では、桃山時代後期(1600年)、初代鴻池善右衛門の父が伊丹で清酒製造に成功し、「伊丹諸白」と呼ばれる高級酒としての伊丹酒が確立した。また、江戸時代後期には、海に近く、輸送に有利な灘五郷に追い上げられたが、伊丹は近衛家の荘園で、その庇護を受け、京でのトップブランドとして栄えていた。しかし、明治初期に伊丹の酒蔵の多くが灘五郷に移り、現在は小西酒造と伊丹老松酒造が残るのみであるとのこと。

 見学先はJR伊丹駅から400~500m内にあり、歩行者専用道路が整備され、丁度、休日と重なりイベントも開催されていた。駅の方に戻り、地中海風料理 SAKAGURA BODEGA で懇親会を行い、JR伊丹駅で解散した。晩秋のひととき、伊丹酒の栄枯盛衰に触れ、有意義な時間を過ごすことができた。

(関西支部長 横川善之)

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