豊橋さんぽ (No.9 文化と芸術の街?)

 9月も中旬になったのにもかかわらず残暑とは言えないほどの猛暑が続いていますね。本当に熱帯の国になったかの過酷な環境下でせっせと一日1万歩を目途に散歩していますので、シニアには身にこたえる日々ですが、何とか頑張っています。
 さて今回は文化とか芸術に関係した事柄について紹介することにしましょう。地元住民はあまり感じていないようですが、市としては”文化と芸術の薫る街づくり”を目指しているようです。まず、散歩していてすぐに気づいたのは市街地の歩道に建つ銅像の多さです。もっとも、観察していると道行く人々のこれら作品に対する関心はとても薄いようですが…。駅前広場にはペデストリアンデッキが設けられていますが、そのそこかしこにさりげなく多くの銅像が建っています。また、駅前から東に向かっている駅前大通り(市電通り)の両側にある広い歩道にはほぼ等間隔で様々な銅像が建っていますし、かっては街一の繁華街であった広小路通りにも両側の歩道に銅像がいくつも建っています。高校生まで暮らしていた時には全く記憶がないので、多分その時にはなかったように思いますので、何時からこのように多くの芸術作品である銅像が建てられたのでしょうかね。もちろん、公園にも同様な銅像やモニュメントなどが必ずと言ってよいほど配置されています。それらの中で私が一番気に入っている作品を一例として以下に示します。

街角の作品「なかよし」


 文化活動の基になる関連施設はどうでしょうか。駅の南側に歩いて数分のところにはコンサートや講演会などに活発に活用されている”穂の国劇場”がありますし、豊橋公園の近くには昭和初期に建てられた豊橋公会堂があり、こちらはコンサートというより講演会や学校関係の行事(私事ですが、小学生の頃の学芸会でステージに上がったことを記憶しています。)などに使われています。この公会堂は、ロマネスク様式のなかなか趣のある建物で戦災でもあまり被害を受けなかったようです。国の有形文化財に登録されていますが、若い市民にとっては結婚式用の前撮り写真の撮影ポイントとして人気のようです。

国道1号線に面して建つ豊橋公会堂。

 さらに、豊橋公園の中には美術博物館があります。市の規模からいっても手ごろな大きさかなと個人的には思っていますが、美術館と博物館と歴史館とを合わせたような役割を受け持っています。この美術博物館の学芸員の中には江戸時代の吉田藩の藩主がお国入りした時の様子をまとめた「三河吉田藩・お国入り道中記」(第3回日本ど真ん中書店大賞を受賞)を出版した人もいます。展示スペースはそれ程広くありませんが、市井の様々な絵画グループなどの展示会から本格的な企画展示まで幅広く利用されています。今年、個人的に印象に残った企画展には、芥川(間所)沙織(豊橋市出身)を中心とした同時代の女流画家にスポットを当てた作品展(豊橋市出身の画家の中では最もビックネームである中村正義画伯も関係)と今年創業100年となる豊橋鉄道の特別企画として市内電車と渥美線にスポットをあてた展示会が挙げられます。

豊橋公園にある豊橋美術博物館


 豊橋市の特産の一つとして”筆”が挙げられますが、これも江戸時代の多くの無名な市井の文人たちの文化的な活動と関係があるのかもしれないと思っています。例えば、俳人として超有名な松尾芭蕉もこの地を訪れ、地元の文化人と交流を深めたようで、旧東海道にはその句碑が残されています。この特産に関係しているためか、書道関係の道具を販売している店もかなり多いように思います。また、画材などを販売している店や画廊、画廊喫茶なども多い印象です。そのほか、市内には私の知る限りでも2か所も能楽堂があり、絵画や書道だけでなく、茶道や華道なども含めて意外と”文化的”な活動が盛んなようです。                          (岡田清)

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