豊橋さんぽ(No.5 市電)

 いつも気候の関係の話から始めますが、GWも終わり、5月中旬に差し掛かり始めるや否や既に30℃以上の真夏日が全国各地で報告され、今年は昨年以上の猛暑が想像されてしまいます。お陰様で、当地、豊橋はまだ25℃を越えることもなく、比較的爽やかな散歩日々が続いています。

 さて、今回の散歩のテーマは市電にスポットを当てることにします。豊橋には1925年から市街地に路面電車が走っています。戦後のモータリゼーションの爆発的な発展に伴い全国各地では多くの都市で道路の渋滞緩和のために市電が邪魔者扱いされ、廃止されていきました。一方、豊橋は戦争で市街地の大半が焼失したことから、戦後復興の際に、道路を広く、かつ、なるべく碁盤目になるようにしたことが市電の生き残りに効果的であったようです。実際に全国で営業中の路面電車は18都市(ごく最近、宇都宮市でライトレールが運行開始したため17都市から増加)に過ぎず、また、その多くは県庁所在地であることから豊橋の市電はとても貴重とも言えます。(豊橋以外には、函館と高岡市)ところで、市電という言葉はとても漠としていて、様々な解釈があります。本来の意味は市営電車でしたので、豊橋のように民営(豊橋鉄道(株))の路面電車は含まれないことになりますが、一般的には路面運行されている電車とも解釈されていますので、ここではそのように広義に考えることにしましょう。

 現在、豊橋鉄道によって運行されている市電は、豊橋駅前から市街地を通り抜け、市東部の住宅地まで走っています。運行距離は5.4 kmとコンパクトな規模ですが、それでも一日あたり、8400人ほどの利用者があります。運賃が全線一律で一回180円と利用しやすい料金であることも利用者が比較的多いことに関係しているようです。それでも利用者が少しずつ減少傾向にあるようで、様々な企画を取り入れ努力しているようです。例えば、ほぼすべての車両には下の写真に示すように色々な会社などの広告がラッピングされています。(散歩していても色々なデザインの車両を見かけられるので、ちょっとした楽しみにもなっています。)この他、6月から9月の夏季期間には駅前から運動公園まで往復1時間半、市電の車内で生ビールを楽しめる納涼ビール電車、一方、冬季にはおでんで一杯が楽しめる”おでんしゃ”が運行されています。また、その他にも特別企画が色々と考えられており、面白いところでは、愛知大学豊橋キャンパスの学生プロレス同好会が車内でプロレスを行うことも。来年は営業100年を迎えることから、また特別なイベントが開催されるのではないかと思います。これからも市民にとって便利な交通機関として頑張って欲しいものです。

体操の内村選手の大好物という事で全国的に有名になった有明製菓㈱が販売しているブラックサンダーのラッピング市電

 

テレビゲームとのコラボと思われるド派手なラッピング車両
豊橋名産のちくわを活かした冬季限定のおでんしゃ

蛇足:豊橋鉄道は市電のほか、新豊橋駅から三河田原駅まで運行している路線、渥美線やバスを運行するなど、豊橋を中心とした東三河地区の公共交通を一手に担っています。背景としている地域の人口があまり多くないため、市電以外の交通機関は中々運賃が高水準で、巷では、日本一高い料金とも言われています。

(岡田清)

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