豊橋さんぽ(No.10 祭り好きの人々)
9月までは毎日暑い暑いと言っていましたが、さすがに10月になり、いまだ平年よりは気温が高い日が多いとはいえ、朝夕は過ごしやすく秋の気配が感じられるようになりました。夏が暑かったせいか、少し気温が低くなったことで、もう我が家に隣接する公園のイチョウの葉は黄葉し始めています。10月中旬で引っ越ししてちょうど1年がたちました。10月は市内の多くの町内会でお祭りが有ったり、広い区域にわたって行われるお祭りに、市を挙げた”ええじゃないか豊橋祭り”があり、祭り好きの人々にはテンションが上がる季節です。
現在私が住んでいる町内では10月5日と6日に羽田八幡宮の”羽田祭り”が開かれ、6日には隣接する公園で盛大に手筒花火や大筒花火が奉納されました。関係町会が大勢で手筒や大筒を神輿スタイルのもと掛け声高く運び込むため、大変に賑やかでした。(手筒花火などの奉納により、音だけでなく、煙や匂いも遠慮なく部屋に入ってきてしまい、慌てて窓を閉めました)特に今年は我が町会が大筒を奉納する年であったようで、ひと月以上も前から豊橋駅の改札口広場に誇らしげに大筒花火が飾られていました。新住民としてはこれを見て初めて町の総鎮守さまが羽田八幡宮であることを知ったのでした。豊橋市は三河地区及び遠州地区(こちらは静岡県西部になります)で盛んな手筒花火の発祥の地、ということが自慢の様で、祭りでは何かというと手筒花火が登場します。この花火は、関係町会で成人、還暦など人生の節目の年にあたる人など(手筒花火の魅力にはまった人はそれとは関係なく毎年でも)が打ち上げることになっています。そのため、自ら竹を採取、竹の外側に暴発防止の厚紙と荒縄を巻き付け、最後に火薬を詰めて、各自お手製の手筒花火を作製します。そしてお祭り当日の夜に手筒を奉納する広場で自ら点火した手筒を体の横に持って噴水のように吹上げ、降りかかる火の粉の中、時には火傷しながら打ち上げます。特に、最後にドーンと大きな爆発音がして、終了します。幸か不幸か私の生まれ育った町会の祭りでは手筒花火はしないところでしたので、このような命がけの経験はありませんが、打ち上げをする当事者は、特に初回は緊張してなかなか大変なようです。
市を挙げてのお祭りは10月19日と20日に開催されます。こちらには豊橋祭りの前に”ええじゃないか”というフレーズがつけられています。中学か高校の歴史の授業で江戸時代末期に自然発生的に”ええじゃないかええじゃないか”の掛け声とともに物の怪か何かに取りつかれたかのように集団で踊りながら伊勢神宮に詣でるのが流行したということを学んだ筈ですが、覚えていませんか?そのような行動の発祥の地がここ豊橋であったという事から、豊橋祭りにこの接頭フレーズが使われています。そのため、祭りのメインイベントは初日の一万人以上が参加して駅前大通りと広小路通りで一斉にみんなで踊る総踊り(今年はサプライズで地元出身で有名な松平健が参加したので、特別に盛り上がったようです)と、二日目のグループ踊り、市内外から参加する様々なグループが集団でええじゃないかええじゃないかと集団ダンスを駅前から商店街の通りを踊りながら、我が家の隣地の公園まで行進する行事で、まさに2日間にわたり踊り一色になります。全国的には札幌のよさこいソーラン祭りや高知のよさこい祭りなどが有名ですが、ここ豊橋でもそのようなイベントが繰り広げられ、この日は賑やかすぎて、騒音を避けるためどこかに出かけなくてはいけない程です。(本音は、いい迷惑!)一方、豊橋公園では小中学校の生徒が美術の教科時間に作製した美術作品が公園一杯に展示されていますが、こちらは作品に関係した人たちを中心に何となく地味に開かれていますので、私には両イベントの対比が面白く感じられます。 (岡田清)